単純な脳、複雑な「私」
脳と心と身体、脳が心を!身体は?…そんな1冊です。
著者 東京大学准教授 池谷裕二氏が
母校の高校生に脳の講義という形で進める
池谷氏の現在の脳研究のアウトリーチ活動の1冊です。
これも形の違うワークショップのひとつ。
- 作者: 池谷裕二
- 出版社/メーカー: 朝日出版社
- 発売日: 2009/05/08
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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前回紹介した、「海馬」にはなかったしかけもあります。
脳の活動をよりリアルに理解するために、
自分の脳の動きと著書の内容をリンクさせるための
動画サイトが用意されています。
たとえば、
http://www.asahipress.com/brain/pink.html
斑点がピンクに見えるということは、私たちの脳にピンクを認識するニューロンが
あるということだそうです。
でも…中央の十字を凝視していると…
緑色の斑点がぐるぐるとまわります。
これは、緑色のニューロンが脳の中で活動しているということだそうです。
そしてもっと、30秒くらいそれを凝視していると
ピンクが見えなくなって、緑色の斑点しか見えなくなります。
つまり、ニューロンが活動さえすれば、現実ではみえないものも
見えてしまうということらしいです。
ニューロンの音も聞くことができます。
本文中(34ページ)より
- 「事実(fact)」と「真実(truth)」は違う。
脳の活動こそが事実、つまり感覚世界のすべてであって、実際の世界、つまり
「真実」については、脳は知り得ない、いや脳にとっては、知る必要さえなくて
「真実なんてどうでもいい」となるわけです。
この視点は「脳」を考えていくときに重要なポイントとなりますから
憶えておいて下さい。
ピンクと緑のニューロンからこの言葉を実感することができます。
第2章では
- 他人の視点から自分を眺められないと、人間的に成長できない
- 他人の眼差しを内面化できるのが人間
何によって記憶されたいかの
『自らを異なる人物、そうなりうる人物として見るよう仕向けられるからである』
につながる内容もある。
第4章では
付論にあるコホーネンの自己組織化マップは、
似たような作業を思い出させ、理論化されていることに驚きを感じたりしました。
『僕らはものごとを誰からも習うことなく分類したり学習したりできる。』
とは著者の言葉。
ニューロンの音ににていると著書が感じるロシアの作曲家
スクリャービンのCDもご紹介。
- アーティスト: アシュケナージ(ヴラディーミル),プロコフィエフ,ロンドン交響楽団
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2007/06/20
- メディア: CD
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