希望・楽観という才能

物事に対する感じ方の差はどこにあるのだろう。
同じ程度の才能の中で、目的を達成できるか否か。
つらいことがあっても熱意や忍耐を持ちつづけられるかどうか。
いったい心の持ちようのどこにその力があるのか。



希望と楽観主義について、「EQこころの知能指数」の本より再びご紹介。

EQ~こころの知能指数

EQ~こころの知能指数

希望の力という才能について
カンザス大学 心理学者 C・R・スナイダーは、
希望とは
「目標がなんであろうと、目標達成に必要な意志と手段が自分に備わっていると信じること」
であると定義している。

希望をもちつづける能力の高い人たちに共通な特質として、

  • 自分自身に動機づけができること
  • 目的達成の方法を見つける才覚が自分にあると感じていること
  • 困難の状況に陥っても事態がやがて好転するにちがいないと自分を元気づけられること
  • 目標に到達するために別の方法を考えたり達成不能になった目標そのものを変更したりする柔軟性があること
  • 大きすぎる目標を処理可能な小さな目標に分割するセンスをもっていること


EQの観点からいえば、「希望を持ち続ける」とは、
難題に遭遇したり一歩後退を余儀なくされたとき不安に負けないこと、敗北主義に陥らないこと、沈み込んだりしないこと。
(139ページより)


楽観主義という才能について
楽観も希望と同じで、後退や挫折があっても最後にはうまくいくだろうという強い期待を維持できる能力だ。
EQの観点からいえば、
楽観とは困難に直面したときに無気力や絶望やそ抑うつに陥らないよう自分を守る態勢を意味する。
(中略 もちろん、これは現実に裏づけられた楽観であることが前提だ。根拠のない楽観は、破滅につながる)


希望と楽観の根源にある「自己効力感」について


楽観や希望の根源にあるのは、心理学でいう「自己効力感」
つまりは自分で自分の人生を掌握できている、難題にも対応できる、という自信だ。
何であれ得意分野ができるとその人の自己効力感は強まり、
より大きな目標めざして冒険したり挑戦したりする意欲が出る。
そのような難局を乗り切ると、それがまた自己効力感を強化する。
自己効力感によって人間は自分の持っている才能を最大限に生かすことができる。
あるいは、自分の才能を伸ばす努力ができるようになる。




自己効力感に関する研究を多数おこなっている
スタンフォード大学 心理学者 アルバート・バンデュラーは、

「自分の才能に対する自信は、才能そのものに大きな影響をおよぼします。
才能は一定不変ではありません。才能がどこまで発揮できるかは、状況次第で大きく変動します。
自己効力感の強い人間は、失敗しても立ち直ります。
彼らはうまくいかないことを心配するよりも、うまくいかなかった場合どう対処すればよいかという視点で
アプローチします。」(142〜145ページより)

自分自身物事を始める前に、うまくいかないなどど考えて
アクションを起こした覚えはないが、結果的にうまくいかなかった事は幾度もある。
物事に対するアプローチの角度で、
失敗が次のアクションの糧となり未来に繋がるか、
自信を失い、いつまでも同時点から抜けられないという
2つの道を分けるのだと思う。
希望と楽観という言葉の見えない社会状況だからこそ、
この2つの心の持ちようを再認識し、より大きな希望につなげる年にしたいと思う。
眉間にシワを寄せて、息を潜めて希望や楽観を謳うのではなく
笑顔で優しくゆるゆると希望と楽観を心に持ち、しかし強い意志で険しい山を登る、
それでこそ、著者ゴールマンの伝えたい希望と楽観の本質に近づくのではと思う。